野口みずきを育てた名伯楽が徹底解説!マラソンは「選手の特性に応じた仕掛け」が勝負を左右する
マラソン
前回の東京五輪は男女とも入賞止まり(大迫傑6位、一山麻緒8位)。五輪のマラソンで日本勢がメダルを獲得したのは、女子は2004年アテネ大会金の野口みずき、男子は1992年バルセロナ大会銀の森下広一が最後だ。今回のパリ大会では久しぶりのメダルが期待されるが、舞台は「五輪史上最難関」といわれる過酷なコース。どんなレースになるのか。
■最大高低差156メートル
今回は近年の主流になりつつある周回コースではない。ネオルネサンス建築のパリ市庁舎前からスタートし、オペラ座、ルーブル美術館、コンコルド広場、凱旋門、グラン・パレ、トロカデロ庭園を経て、ベルサイユ宮殿で折り返す。その後、セーヌ川沿いを戻り、エッフェル塔前を通過してナポレオンが眠るアンバリッド(旧軍病院)前の広場がゴールとなる。
歴史に彩られたコースはテレビ観戦では存分に楽しめるが、もちろん選手にそんな余裕はない。中心街の石畳は足へのダメージがあるだろうし、最大156メートルの高低差がある過酷な起伏や、14キロ付近から約6キロ続く上り坂には短い下り坂が点在する。20キロを過ぎると約8キロの下り坂があり、28キロ付近からは最大勾配13.5%の最も激しい傾斜を含む約900メートルの上り坂に。その後32.5キロまでは長い下り坂が待ち構える。「こんなアップダウンが激しいところを五輪の舞台にしなくてもいいのに」と漏らす陸上関係者は少なくない。「五輪史上最難関」といわれるゆえんだ。