仁義なき「高校野球バット戦争」…メーカー同士で壮絶な密告合戦、足の引っ張り合い、広がる疑心暗鬼

公開日: 更新日:

 センバツが終了して約半月後の4月18日、高野連の発表が大きな波紋を呼んだ。

 ボルテカ、ハイゴールド、イソノ、三共スポーツ、ザナックスのメーカー5社から販売されていたバットに、一般財団法人製品安全協会が定めるSG基準に違反する商品があり、それが市場に出回っていたことが判明。いずれも回収及び、使用禁止となったのだ。

「基準に違反したバットを販売していたのは、5社だけではなかった。実はSG基準をすべて満たしたバットは14メーカー中、たったの2社だけ。にもかかわらず、5社だけが名指しで糾弾されたのです」とは、さる用具メーカー関係者だ。(【前編】からつづく)

■大手社幹部が激怒

 SG基準を満たしていたのは、たったの2社だけ。5社が糾弾され、3社が遅れて判明、残り4社は公表すらされていない現状には首をかしげざるを得ないが、前出のメーカー関係者は「そもそもの発端は、メーカーによる壮絶なチクり合いですよ」と、こう続ける。

「かつて高校野球における金属バットは一部大手メーカーの独壇場。2社で全体の9割を占め、それ以外のわずか1割前後のシェアを、他の複数メーカーが奪い合っていたという構図でした。しかし、低反発バットの導入が決まると、さまざまなメーカーが参入。センバツ1回戦32校のスタメン9人の使用シェアを見ると、ミズノが46.5%、SSKが20.1%、ゼットが16.7%、イーストンが11.1%、マルーチが2.1%……など、変動が起きている。シェア率が減ったメーカーの上層部がこれに激怒し、『実はあのメーカーのバットは基準に違反している』と高野連に“密告”。チクられた方も『それを言うなら、あのメーカーだって……』と、これも高野連にタレ込む。そんな状況が起きていると聞きます。高野連も違反バットで本塁打量産とか、打球でケガ人続出となったらたまらない。そこで、製品安全協会に14メーカーのバットを持ち込み、『全部調べてくれ』となったのが始まりです」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    西武ならレギュラー?FA権行使の阪神・原口文仁にオリ、楽天、ロッテからも意外な需要

  2. 2

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動

  3. 3

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  4. 4

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏の勝因は「SNS戦略」って本当?TV情報番組では法規制に言及したタレントも

  5. 5

    小泉今日子×小林聡美「団地のふたり」も《もう見ない》…“バディー”ドラマ「喧嘩シーン」への嫌悪感

  1. 6

    国内男子ツアーの惨状招いた「元凶」…虫食い日程、録画放送、低レベルなコース

  2. 7

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  3. 8

    首都圏の「住み続けたい駅」1位、2位の超意外! かつて人気の吉祥寺は46位、代官山は15位

  4. 9

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏圧勝のウラ パワハラ疑惑の前職を勝たせた「同情論」と「陰謀論」

  5. 10

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇