愛知工業大・中村優斗 スピード感十分の体重移動、左足で地面をドーン!と叩く強大エネルギー
中村優斗(愛知工業大/投手・右投左打176センチ・83キロ/諫早農業高)
昨年12月の初め、「侍ジャパン学生候補合宿」の松山・坊っちゃんスタジアム。
紅白戦の3番手に、この投手がマウンドに上がり、打者に投げ始めて、ネット裏がどよめいた。
初球が確か、155キロだったと思う。全国からえり抜きの大学生選手が集まる選考合宿だ。そんなこともあるだろうと、最初は冷静を装っていたスカウト陣だったが、その後も、当たり前のように150キロ台を続けてくる無名の右腕に、「なんじゃこりゃ……!」と驚きの視線を注いでいたのを、はっきり覚えている。
しかも、エイヤー! の力任せじゃない。両肩のラインを捕手のミットに向けることを大切にしながら、程よい力感の腕の振りからの「150キロ台連発」だったから、ネット裏の驚きはさらにボルテージを上げた。
「野球は高校(長崎・諫早農業高)までにして、県庁の職員になって、農業振興の仕事をしようと思ってたんです。長崎で生まれて、育ったので、長崎に恩返ししたかったので」
この秋、リーグ戦前に取材に伺って、こんな話を聞いて、また驚いた。