愛知工業大・中村優斗 スピード感十分の体重移動、左足で地面をドーン!と叩く強大エネルギー
勧めてくれる人がいて、愛知工業大に進学していなければ、今ごろは入庁4年目の若手職員。それが、現実では、プロ野球ドラフト1位確実の剛腕なのだから、若い人のちょっと先なんてほんとにわからない。
176センチ、83キロ……今の球界では「大型」の部類ではないが、そばで見ていると、やはり、投げるエネルギーが素晴らしい。
マウンドの傾斜に助けを借りて、スピード感十分の体重移動から、左足で地面をドーン! と叩いて、地面からその大きな反動をもらう。このパワーがあるから、力まなくても自然と強烈に腕が振れる。フォームの力感より、ずっとボールが走るから、捕手のミットも遅れがち。
スライダーが真横に吹っ飛び、フォークがタテに消える。
「いくらいいボールを投げても、僕はスピードガンと勝負してるわけじゃないので、試合に勝てなきゃ意味がない。チームメートに信頼されて、アウト全部三振ってわけにもいきませんから、バックに助けてもらいながら勝てる投手になるのが、プロに行ってからの仕事になると思います」
大風呂敷を広げるわけでもなく、美辞麗句を並べるわけでもない。思うところをそのまま言葉にできる実直な九州男児の「旅立ち」が、もうすぐそこまでやって来ている。