メディアによる球団経営の功罪…ウォルト・ディズニー社は「ディズニーランドもどき」で大失敗
巨人軍の元オーナーで読売新聞グループ本社主筆の渡辺恒雄氏が98歳で亡くなった。メジャーでは巨大メディア企業が球団を買収して経営に乗り出すと失敗するのは珍しくない。
米国テレビ業界のリーディング企業だったCBS放送は1965年にヤンキースを買収、経営に乗り出したが、効果的な資金の投じ方を知らないためチームは低迷。一度もプレーオフに進出できないまま73年に五大湖地方のスタインブレナーという造船業者にたった1000万ドル(当時約27億7000万円)で投げ売りする羽目になった。
映画、テレビ制作も行うウォルト・ディズニー社はディズニーランドのすぐ近くに本拠を置くエンゼルスを96年に1億2000万ドル(同130億円)で買収し経営に乗り出した。外野席の一部を潰してディズニーランドの「冒険の国」のような巨大な岩の間を小川が流れる「ディズニーランドもどき」を創出、ディズニー色を前面に出した球団経営を行った。しかし、年俸高騰などで経費がかかりすぎるため、ワールドシリーズを制覇した翌年の03年に、看板広告で財を成したアルトゥーロ・モレノ氏に1億8000万ドル(同212億円)で売却。この時期は球団の買収額が急騰していたため、前年の02年にレッドソックスは6億6000万ドル(同818億円)で買収された。