バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた
この頃の僕は、プロ野球選手として完全にくじける寸前だった。合わない環境の一軍に上がりたくないとさえ思った。二軍でくすぶっていた時、岡田二軍監督はこう言って励ましてくれた。
「おまえは何にも心配せんでええ。思うようにやれ」
腐っている僕を見ても「おまえはアカン」と言われたことは一度もない。当時「全権」だった野村監督に逆らってまで選手を守ってくれたおかげで、折れそうだった心を保つことができた。
二軍には打撃投手が少ないため、真夏の炎天下でも、毎日600球近くを投げてくれたことで、二軍で連日特打、特守に励むことができた。
すごいのは、一軍監督や球団幹部らの「上」だけでなく、「下」の選手にもゴマをすらないこと。こんな指導者を僕は見たことがない。
「岡田は二軍の試合が終わると、投手や打者の寸評を書いて、毎日FAXを送ってきた。何をテーマに臨み、何ができて、何ができなかったのか。細かくリポートしてくれた。これが実に的確だった。岡田はえらいな」
これは野村監督がコーチ会議の際に「感心した」という記事に出ていたコメントである。
野村監督の時に岡田二軍監督じゃなかったら、僕は早々と引退していたかもしれない。そんな恩人が2004年、一軍の監督に就任する。