海洋冒険大作を上梓 笹本稜平氏に聞く
サルベージ船で突き進む荒れた海原や、絶海の沈没地点へのダイビングシーンなど、恐ろしくも美しい海の世界が描かれているが、著者は大型船への乗船もダイビングも、まったく経験がないというから驚かされる。
「地図や資料から、イマジネーションを膨らませて描く作業が好きなんです。あまり深く知ってしまうと、愛着が湧きすぎて良いことしか書けなくなる(笑い)。今回、10年ぶりに海を舞台にしてみて、こういう物語が作れるんだと、改めて海の懐の深さを感じました。山もいいですが、あともう少し、海洋冒険小説の世界を広げたいと思っています」
▽ささもと・りょうへい 1951年、千葉県生まれ。2001年「時の渚」で第18回サントリーミステリー大賞と読者賞をダブル受賞。04年「太平洋の薔薇」で第6回大藪春彦賞。「天空への回廊」「越境捜査」「春を背負って」など著書多数。