「定本 黒部の山賊アルプスの怪」伊藤正一著
■黒部の山小屋に山賊がいた
これまでは山小屋でしか購入できなかった山岳名著の新装版。
終戦直後、著者は北アルプスの最奥部の山小屋「三俣蓮華小屋」の権利を購入。戦争中に番人不在で荒れ果てた小屋の下見に行こうとした氏は、一帯に凶悪な「山賊」が出没するとの噂を耳にする。確かめると、小屋に山賊が本当に住み着いていた。山賊を追い出す算段をしていた氏は、彼らの仲間の遠山富士弥と知り合う。彼は黒部の主といわれた名猟師の息子だった。その後の彼らとの山小屋生活をはじめ、北アルプス登山黎明期のことや埋蔵金伝説、山の怪異譚など。北アルプスを知り尽くした氏による山エッセー。
(山と溪谷社 1200円)