■「〈老いがい〉の時代―日本映画に読む」天野正子著
著者は、「老いはもはや『生』のゴールではない。可能性に満ちたスタート」であり、「生きがい」よりも「老いがい」の方が、より「生」を表現するのにふさわしいと説く。本書は、戦後の日本映画をテキストに、そこに描かれた老いや介護のメッセージを読み解きながら「老いがい」を考える生き方本。小津安二郎の諸作品から昨年の「ペコロスの母に会いに行く」まで、多数の作品を取り上げ、見えていない世界まで見せてくれる映画の力を借りて、誰にとっても未知の「老い」の世界をのぞき見る。
(岩波書店 780円)