「放射能汚染とリスクコミュニケーション」天笠啓祐氏

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 リスコミに際して政府は①最新の科学的知見に基づいて情報発信②少人数によるきめの細かい対話③リスコミを行う人材育成、をうたっている。だが①の科学的知見として活用される「放射線リスクに関する基礎的情報」が問題アリなのだ。

「長期にわたる低線量被曝の影響はわかっていないのが現実ですが、『わからない=影響ない』と結論づけて高い被曝を強いる帰還は人権軽視です。年間20ミリシーベルトまでは問題ないと政府は言いますが、これは事故の緊急時の許容数値で、通常の一般市民の限度は1ミリシーベルトです。また、メルトダウンした1~3号機の事故処理はめども立っていませんし、汚染水の垂れ流しなど日々トラブル続き、労働者の被曝も深刻です。要するに、安倍政権の経済成長戦略、原発推進政策のために、福島の事故は忘れるように宣伝しろというのがリスコミです」

 このスリコミ洗脳は、今後、他の分野でも行われていくのではないかと著者は警告する。

(萌文社 800円)

▽あまがさ・けいすけ 1947年、東京都生まれ。早稲田大学理工学部卒業。環境問題を専門とするジャーナリスト。市民バイオテクノロジー情報室代表。著書「原発はなぜこわいか」「遺伝子組み換えとクローン技術100の疑問」「地球とからだに優しい生き方・暮らし方」ほか。

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