「なぜ、スポーツ選手は不正に手を染めるのか」マイク・ローボトム著、岩井木綿子訳
先ごろ閉幕したブラジルW杯の開催期間中、カメルーン代表のニコラ・ヌクル選手の父親が焼死体となって発見された。カメルーンチームには八百長疑惑が浮上しており、事件との関連も囁かれている。
スポーツ界には、古くから多くの不正がつきまとってきた。マイク・ローボトム著、岩井木綿子訳「なぜ、スポーツ選手は不正に手を染めるのか」(エクスナレッジ1800円)では、数々の事例をもとに不正が生み出される現状をルポしている。
今、“無害な不正”として問題となっているのが「スポット賭博」だ。テニスでのダブルフォールトの数や、サッカーでのフリーキックの数を予想する賭けで、イギリスの一般市民にとっては合法の賭博だ。しかし、これに選手が関わることが増えていると本書。サッカーのイングランド代表だったル・ティシエは、自伝の中でスポット賭博に関わったことを告白している。最初のスローインが行われる時間帯を当てる賭けで、ル・ティシエとチームメートは高額配当が期待できる「1分未満」を買い、できるだけ早い時間にボールをピッチの外に出そうと躍起になったという。