「ザ・クロニクル 戦後日本の70年(1)1945-49 廃墟からの出発」共同通信社「戦後70年写真事業実行委員会」編
戦争が終わっても国民の苦労は続く。追い打ちをかけるように45年は、冷夏と風水害が重なり大凶作に見舞われ、46年5月には皇居前広場に25万人が集まり深刻な食糧不足を訴える「飯米獲得人民大会」が催された。国会議事堂の前庭が芋畑に利用されている写真に、当時の人々の苦労がしのばれる。
翌47年になると、ラジオ番組「街頭録音」の収録風景やミスコン、女子野球大会の様子など、落ち着きを取り戻しつつある人々の暮らしを伝える写真が増えてくる。
その後、日本は奇跡とまでいわれる復興を果たす。その先人たちの築いた繁栄を謳歌しながら、どこに向かおうとしているのか定まらない現代人が立ち返るべき原点がここにある。
(共同通信社 2500円)