「物語のおわり」 湊かなえ著
妊娠3カ月でがんにかかったことを知った智子は、かつて両親と行った北海道への旅に出る。父はがんで余命半年という宣告を受け、智子に自分と同じ感動を共有させようとしたのだ。智子もこの旅でお腹の中の子との思い出を作ろうとしていた。そんな智子に船中で知り合った少女が「空の彼方」という結末の書かれていない原稿を手渡す。さらに原稿は、カメラマンの夢をあきらめようとしている拓真の手に渡される。
原稿を手渡された人たちが、その人なりの結末を思い描く美しい変奏曲のような物語。
(朝日新聞出版 1400円+税)