海外小説を読む楽しみ編
数年後、クリスマス休暇で本土に戻った機会にルーシーの洗礼式を行うことにしたトム夫妻は、娘の母親が生きていることを知る。母親のハナは、今も夫と娘のグレースが生きていることを信じ、その行方を捜していた。
ドリームワークスによって映画化が決まった米国で話題のベストセラー。
(早川書房 2800円+税)
■「廃墟に咲く花」パトリック・モディアノ著、根岸純著
昨年、ノーベル文学賞を受賞した著者が1991年に発表した自伝的小説。
1989年10月のある日曜日の夜、主人公の「ぼく」は10代だった60年代前半ごろに過ごしていたパリの街を歩きながら、フォッセ・サン・ジャック通り26番を探す。1933年4月24日、そこに以前立っていた建物に住んでいた若い夫婦が自殺した。その理由は今も謎のままだ。その前夜、夫婦は外出先で出会った2組のカップルを連れて帰宅、深夜に大騒ぎをし、客が帰った翌朝、瀕死の妻と夫の遺体が見つかったのだ。事件に興味を抱き、当時の新聞を調べたりする中、ぼくはある男と知り合う。