「できる男は不倫する 本革の手帳」松岡宏行・著 高橋潤・絵
例えば、部下の浅井が3カ月がかりで口説き落とした彼女が奥手だと思っていたのにエロいパンツをはき、スゴかったと聞いたブチョー。さっそくナミにエロい下着をプレゼントして一戦を挑むが、なぜか盛り上がらない。
そんなブチョーの姿に「エロい下着に感動するのは、そこに意外な驚きがあるからで、男が買い与えた下着では感動のレベルが下がる」と指摘。
同じように、チェーン店などにみられるカスタマイズ商法も、顧客志向という名の責任逃れに陥りがちで、乱用は商品の品質を下げるとバッサリ。
他にも「出世すればするほど、叱ってくれる人がいなくなる」と嘆き、ガツンと自己否定される体験がしたいという常務の勝田がブチョーにSMクラブに連れて行かれてしまう姿を描きながら、「人は、自己を否定される経験によってのみ、大きく成長することができる」などと説く。もちろんエロだけではない。勝田は創業者なのになぜか常務。社長の栗原の姿は社員のだれも見たことがない。その理由を描きながら説かれるリーダー論など34章を収録。
洗練されたコミックゆえか、美女とブチョーのセックスシーンもなぜか許せる。ユーモアとエロに包みながらも、鋭い洞察から繰り出される助言は、きれいごとを並べた類書とは一線を画し、胸に響く。 雑誌「ゲーテ」人気連載コミックの書籍化。(幻冬舎 1300円+税)