「第2次世界大戦 作戦マップ」マイケル・スウィフトほか著、福田希之ほか訳
イタリアの小さな港町アンツィオにおける連合軍の「屋根板作戦」(1944年1月)の詳細を示した地図に朱色で押された「MOST SECRET」のスタンプや、イギリス軍のパラシュート部隊の動きとドイツ軍の防御陣の動きをそれぞれ赤と青のペンで描き込んだ「マーケット・ガーデン作戦」(1944年9月)の地図など、隅々から戦場の臨場感が伝わってくる。
しかし、何といってもハイライトはやはり「ノルマンディー上陸作戦」であろう。Dデー(1944年6月6日)を前に、連合軍の特殊舟艇部隊の潜水工作兵らの偵察によって作られたノルマンディー海岸の地図には、水中に仕掛けられた障害物などが詳細に記されている。その他のDデーとノルマンディーに関するさまざまな地図を網羅。
さらに、パリに設置されたゲシュタポ(ドイツ秘密国家警察)の本部の図面や、フランス各地のレジスタンス運動を支援するための補給作戦用の地図など、作戦地図以外の図版も興味深い。
折しも今年は第2次世界大戦の終結から70周年の節目の年。第2次世界大戦をテーマにした歴史書をはじめ、映画や小説など、さまざまな媒体をより理解し、楽しむための副読本としても格好の書。