下心いっぱいの「トーク」本
ところで、どんなに厚い本でも、紙を畳んで作る16ページの「冊子」が基本単位になっている。製本用語で「折」と呼ぶ。
本書の場合、折ごとに紙を替えている。グレー3折、クリーム2折の繰り返し。グレーの紙が厚いため、およそ4対1の比率で層が見える仕掛けだ。
ここで疑問。文章が切れ目なく続いているのに紙の色が変わるのはアリなのか? 実際読み始めれば不思議と気にならない。むしろ文章の背景が変わることで、飽きさせずにページを開かせる「駆動力」に注目。そして全体が対話形式のため、あっという間に読めてしまう「スピード感」。これこそが、本書設計上の「肝」とお見受けしたがいかがだろう?(スモール出版 2200円+税)
◇みやぎ・あずさ 工作舎アートディレクター。1964年、宮城県生まれ。東北大学文学部仏文科卒。1990年代から単行本、企業パンフレット、ポスター、CDジャケットなど幅広く手掛ける。