「芸人という生きもの」吉川潮著
演芸評論家として40年、執筆を続けてきた著者。第一線で活躍する芸人と、公私にわたり濃密な関係を築いてきたからこその交遊録には、芸人の知られざる魅力があふれている。
古今亭志ん朝、柳家小さん(5代目)、立川談志に始まり、早野凡平、マルセ太郎、小沢昭一ら計30人の芸人のエピソード。実はその半数以上が故人。彼らの類いまれなる才能に惚れ込んだ著者が、友人として、評論家としての思いをつづる。2001年に自ら命を絶った桂三木助(4代目)との秘話は涙を誘う。落語が好きな人は一読しておきたい「演芸人類学」だ。
(新潮社 1300円+税)