「中間層消滅」駒村康平氏

公開日: 更新日:

 フランスの経済学者ピケティも指摘したように、今、富の集中による所得格差が世界中で問題になっている。日本もその例外ではない。

「たとえば、高所得者の給料が100万円から200万円になり、低所得者の時給が1000円から1100円になったとします。格差は広がっていますが、経済学的には両者とも所得が増えて幸せになった、と捉えます。経済学が市場メカニズムを正当化していますから、放置していれば所得格差は広がる一方です」

 そして、高所得者層の取り分が増えるほど、中間層と低所得者層の差がなくなっていき、中間層が消滅する――。

「中間層がいなくなると社会の不安定化が起こると危惧しています。親子間での格差の連鎖が発生し、低所得が理由で教育の機会を得られない人が増えます。そこで生まれた格差は社会に出ても続くため、信頼関係や規範意識は損なわれ、経済成長の低下へとつながり、政治的な不満も高まります」

 さらに問題なのは、富の集中は、格差を固定し、社会を二極化させてしまうことだ。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…