「中間層消滅」駒村康平氏
「二極化すれば、社会の流動性がなくなります。たとえば、小中学校から受験でセレクションが行われ、似通った成育環境にある高所得者層の子どもが集まってくるために、エリート層になる彼らは生活に困っている人を自分の目で見たことがなく、相手の立場を思いやることができなくなる心配があるんですね。だから経済さえ成長すれば、あとは自助努力で、などと平気で言えてしまうんですよ。どんな家に生まれてくるかは運で、スタートラインで差がつくと自助努力では格差を逆転させることはできなくなることを、中間層より上の人々には知っておいてほしい」
中間層というのは幅広い視野で社会を見渡せるバランスのいい層であり、それを強みに変えて、社会を動かしていくことも可能だという。
「ぜひ、賢い消費者として行動していただきたい。ヨーロッパではすでにESG(ecology/social/governance)投資が当たり前ですし、製品は安いがブラック企業であるとか、コスト削減のために環境破壊をいとわない企業の製品を買わない、という消費者の行動が広がってきています。兵糧攻めで企業の行動を変えていくことは、資本主義経済を続けながら持続可能な社会を作っていく、確実なひとつの方法ではないでしょうか」