「農山村は消滅しない」小田切徳美著
約900もの自治体が消滅する可能性があると伝えた通称「増田リポート」は社会に衝撃を与えた。本書は、全国各地を調査してきた研究者が、本当に農山村は消滅するのかを、多くのデータと共に徹底検証したリポート。
確かに農山村では、人・土地(利用)・むら(集落機能の停滞)の3つの空洞化が進んでいる。だが、過疎地域約6万5000集落の将来動向をまとめたデータによると、83%が消滅の可能性はなく、農山村では将来に向けて存続しようとする力が働いていると指摘。その背景を分析する一方で、「地域づくり」の取り組みや、都市住民の農山村への関心の高まりなどを取り上げながら、農山村の行く末を考える。
(岩波書店 780円+税)