「だれが修復腎移植をつぶすのか」高橋幸春著
がんにかかった臓器提供者の臓器は移植には不適という常識を破り、小規模ながんの部位を取り除いた「修復腎」を慢性腎不全の患者に移植して高い成果を上げた医師たちがいた。ところが移植学会はこれを非難。厚労省に働きかけて「原則禁止」に追い込んだが、治療を受けた患者や希望者らが抗議し、提訴へ。
本書はこの問題を深く取材し、2兆円市場といわれる透析医療費の利権にむらがる製薬会社や医療機関と学会がからむ癒着構造を発見する。医学界の闇に深く切り込んだノンフィクションだ。(東洋経済新報社 1500円+税)