【戦後70年を問う】「戦争の記憶」は世代によって変わる。いま問われるのは戦後70年を語る多種多様な「目」と「声」の記憶だ。
「私の『戦後70年談話』」岩波書店編集部編
文壇から学界・論壇・政界・芸能界まで計41人の名士が語る戦争の記憶と平和への願い。往年の二枚目俳優・宝田明氏は小学5年生のとき満州のハルビンで終戦を迎え、ソ連兵に撃たれて腹部から銃弾の摘出を受けたと語る。「戦争を好む国というのは、終局的には滅びます」の一言の重さ。女優・奈良岡朋子氏は「集団的自衛権や特定秘密保護法が通って、戦争を知らない人たちが国をつかさどっています。(略)何を言うか! と感じます」と一喝する。
他方、国際人の代表格というべきハーバード大名誉教授・入江昭氏は日米を比較しつつ、日本では「これ以上愛国教育はやらなくていい」と直言。中身の濃い一冊。(岩波書店 1600円+税)