ペリリュー島を舞台に小林よしのりが描く戦争漫画

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 戦後70年の今年。終戦記念日の前後には、戦争を題材とした映画ドラマを見て、反戦への思いを強くした人も多いことだろう。ただし、これらの作品では主人公は皆、立派な青年で、愛する妻や子を思い、命をかけて戦うといった悲しくも美しい描かれ方がほとんどだ。

 しかし、人と人が殺し合うという狂気の戦場で、兵士たちはどのような心理状態にあったのか。決してきれい事では済まされない葛藤があったはずだ。小林よしのり著「卑怯者の島」(小学館 1800円+税)は、500ページにわたって壮絶な戦闘シーンと極限の世界観を描き出した渾身の戦争漫画。子供向け漫画ではなく、ゴーマニズム宣言とも一線を画す、新しい小林よしのり作品となっている。

 物語の舞台は、パラオのペリリュー島。フィクションではあるが、この島で繰り広げられた狂気の戦闘の様子は、実際に生き残った日米双方の元兵士たちが証言していることだ。文字通りの肉弾戦が描かれる本作では、兵士たちの手足が吹き飛び、内臓や目玉が飛び散り、あらゆるものが血に染まる様子がこれでもかと活写されている。

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