「ルポ 過激派組織IS」別府正一郎・小山大祐著
現在、世界を震撼させているイスラム過激派組織IS。その誕生のきっかけは1916年、イギリスとフランスが植民地政策に基づいて中東を勝手に線引きして分割したことだった。その〈国境線〉はスンニ派の居住地を分断し、イラクをシーア派、スンニ派、クルド人という、異なる宗派、民族を抱え込む国にしてしまった。ISの戦いは彼らから見れば〈列強によって失われた共同体の統一〉を取り戻すための聖戦なのだ。ISは中東だけでなく、欧米で居場所が見つけられない若者を取り込んで、勢力を拡大している。
NHK海外支局にいた著者が長期にわたる取材で、ISの実像に迫る。(NHK出版 1500円+税)