「快楽」青山七恵著
慎司は、妻の耀子をヴェニスへの旅に誘い出す。結婚8年を経ても、モデル並みの美しさを保つ耀子だが、慎司は彼女との味気ない夫婦生活に不満を抱いていた。旅行には、慎司が招待した小谷夫婦も同行する。喫茶店を営む小谷徳史は、恵まれた容姿で幼いころから女たちの好色な視線にさらされてきた。
一方、彼の妻・芙祐子は慎司の目にはコーギー犬のように映り、まるで自分たち夫婦とは正反対だ。無邪気に海外旅行を楽しんでいた芙祐子だが、次第に慎司夫妻と行動することにめいってくる。耀子は、夫がこの旅行中に自分が徳史と浮気することを望んでいることを知る。
喪失感を抱えた4人の視線と思いが絡み合う長編小説。(講談社 690円+税)