「世界の刀剣歴史図鑑」ハービー・J・S・ウィザーズ著 井上廣美訳
古代エジプトでは、このシックルソードの形をした投擲武器「ケペシュ」が、斬撃用の刀剣としても使われるようになり、ファラオらにも愛用された。ツタンカーメンの墓の出土品にもファラオがケペシュでライオンを打倒している姿が描かれている。
さらに古代ギリシャや古代ローマ、バイキングらが使用していた武器の数々を経て、現代にいたるまで、時代や地域ごとの刀剣の歩みを詳述。
戦争の変化によって、刀剣類もまた姿を変えていく。1500年代半ば、ヨーロッパでは戦士の重武装化に対抗するため、刀剣は斬撃だけの武器から、板金鎧(プレートアーマー)を刺し貫いたり切り裂いたりできるようにと進化する。
火器が登場し、補助的な武器となっても、刀剣は戦場には欠かせないものとして、さらなる改良の試みが続けられてきたという。
後半の宝刀名鑑では、ヨーロッパ最古の刀剣とみなされているトルコの青銅製刀剣(紀元前3000年代)から、1本のさやから2本の剣を取り出し両手で使う中国独自の「双剣」や無数の宝石によって飾られたペルシャの王室の剣(後にオスマン帝国からロシアの女帝エカテリーナ大帝に贈られた)など贈答用の豪華な刀剣まで名刀が勢ぞろい。