「動くものはすべて殺せ」ニック・タース著、布施由紀子訳
1968年、米軍のミライ集落(ソンミ村)の虐殺事件は世界を震撼させた。カリー中尉は「動くものはすべて殺せ」と命じて、4時間で500人以上の村民を虐殺した。この事件を告発したベトナム帰還兵のライデナワーは「あれは作戦であって(カリー中尉の)特異な逸脱行為ではなかった」と言う。71年、ベトナム帰還兵マクダフが「ミライ事件を上回る蛮行が繰り返されている」とニクソン大統領に手紙を書いたが無視された。
だが、2001年、大学院生タースはベトナム帰還兵のPTSDについて調べていたとき、米軍が民間人を大量虐殺したことを記載したベトナム戦争犯罪作業部会の記録書類に出合った。
民間人大量殺戮を描くドキュメント。(みすず書房 3800円+税)