アイデアを引き出すとは、アイデアを書き出すことだ
「あの人はなぜ、東大卒に勝てるのか 論理思考のシンプルな本質」津田久資著
教科書に書いてあることを正確に記憶し(理解しなくてもいい)、1時間半とか2時間の制限時間内に筆記試験に再現する能力に長けた偏差値秀才とは異なるビジネスの実践に役立つ技法について記されている。一級のビジネス書だ。
津田氏は、〈人が考えているかどうかを決めるのは、その人が書いてるかどうかである。/アイデアを引き出すとは、アイデアを書き出すことにほかならない。少なくとも大多数の人にとってはそうである。これまで人生の中で、真剣に考えた経験がある方は思い返してほしい。あなたは1時間とか2時間、腕を組んでう~んと唸りながら思考をめぐらしていただろうか。そういう人はかなり少ないと思う。/本当に何かを考えたときには、そのプロセスや最終的なアウトプットについて、何かしら必ず書いているはずである。逆に言うと、それがない限り「考えていた」とは言えないのである〉と指摘する。
津田氏の言うとおりと思う。頭の中で単に思いつくだけでは、「考えた」とは言えないのである。それを書き出してみると、きちんとまとまった思考でなくては、言語化できないことがわかる。裏返して言うならば、思いつきを、意味が通った文にする訓練を繰り返しているうちに、論理的な思考力が身につくのである。