TPPと戦争法案の裏表
「TPP亡国論」中野剛志著 集英社新書
私が池上彰をダメだと思う最大の理由は、彼がTPPに賛成していることだが、10月6日付の大手紙は、まるで池上に説得されたかのように「TPP合意へ」と報じていた。情けない限りである。8日付の本紙が孤軍奮闘して、これを推進する自民党のウソを暴いている。
TPPを結べば、日本の食料自給率は確実に下がるが、4年前のベストセラーの「TPP亡国論」には、こんな一節があった。
2003年の穀物自給率で見ると、フランスが173%、アメリカが132%、イギリスが99%であるのに、日本はわずか27%で、足りない分をほとんどアメリカから輸入している。しかし、いま、地球規模で起きている水資源の枯渇が深刻化して不作になった時、アメリカや他の国が自国民を犠牲にして日本に穀物を輸出してくれることは考えられない。
中野の指摘するように「アメリカは、食糧価格の上昇を見越して、TPPを仕掛けてきている」のである。
また、佐賀の農民の山下惣一は大野和興との対談「百姓が時代を創る」(七つ森書館)で、ヨーロッパの食料自給政策に感動している。ユーロという共通通貨を持っていて、EU全体で役割分担ができるのに、そうしないで各国ごとに自給政策をとっている。なぜかと尋ねたら、こういう答えが返ってきた。