【プロパガンダの過去と現在】「戦争法案」騒動で弱腰に終始した大手マスコミ。その裏には権力によるプロパガンダの歴史が深く横たわっている。

公開日: 更新日:

「たのしいプロパガンダ」辻田真佐憲著

 プロパガンダと聞くと恐ろしげな洗脳を連想するのは実は間違い。なぜならプロパガンダは敵に立ち向かう国民が心を高揚させ、欣喜雀躍(きんきじゃくやく)しながら盛り上がっていくものだからだ。本書はこんな立場で書かれた若手メディア研究家の著作。

 たとえば昭和初期には海軍の現役軍人が宝塚歌劇に原作を提供した「太平洋行進曲」があったし、ロシア民謡の「カチューシャ」は田舎娘が恋人のソ連軍兵士を思う歌詞で国民に戦争宣伝をしていた。現代日本では百田尚樹の「永遠の0」などの「右傾エンタメ」や自民党がユーチューブとニコニコ動画を利用して作った「教えて!ヒゲの隊長」アニメまでを取り上げて論じている。(イースト・プレス 800円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動