「真説 真田名刀伝」東郷隆著
真田家の宝刀「茶臼割り」の数奇な運命を描く戦国時代小説。
天文3(1534)年、信濃・上野国を治める海野家の傍系の三男・能登守輝幸は、諸国行脚中に常陸国での野試合で、相手を叩きのめし、太刀を手に入れる。太刀には名刀「鬼丸」の銘がつけられていた。祭りで暴れだした牛を能登が一刀両断し、刀は「牛斬り」の異名を持つ。「太刀占」した鹿島の卜伝は、牛斬りは「やがて、貴殿のもとを離れ、さる御仁の所持」となるが、後に再び能登のものになると予言。言葉通り、帰郷すると太刀は兄の幸光に横取りされる。
ある夜、幸光らが夜盗を退治中、牛斬りが投げつけられた石臼を斬り割る。以来、太刀は「茶臼割り」と名付けられる。(角川春樹事務所 1600円+税)