「『男はつらいよ』の幸福論」名越康文著
映画「男はつらいよ」は、主人公の寅さんが、マドンナに惚れて、最後はフラれるだけの映画だと思ったら大間違い。実は寅さんは、現代の私たちにこれからどう生きるべきかを示してくれていると説く精神科医がつづったエッセー。
1969年の映画公開時、アラフォーの設定だった寅さんは、日本の草食男子の元祖だったと指摘。旅先で出会ったマドンナとの恋愛が実らないのはなぜか。それは寅さんが「理想の母親像」を相手に求めているからだという。
一方で、各マドンナたちの生き方に見る幸せのつかみ方や、さまざまなパターンで登場するすれ違う親子の関係など。全48作品の印象的なシーンやセリフを紹介しながら、寅さん的生き方の神髄を解き明かす。(日経BP社 1500円+税)