「メサイア 警備局特別公安五係」高殿円著
超軍縮会議によって各国の軍隊は人口の0・1%に縮小。大量破壊兵器の開発生産も禁止され、戦争は諜報戦へと移行して7年が経った皇暦111年。特秘機関「サクラ」の養成機関で基礎教育を終えた海棠(かいどう)は、上司の一嶋から御津見と引き合わせられる。
今後、御津見が海棠のメサイアとなるというのだ。通称サクラと呼ばれる警備局特別公安五係は、スパイなど日本に邪魔な人間を事故や自然死を装って始末する殺し屋だった。任務に失敗したサクラは見捨てられるのが掟だが、メサイアだけは例外で、相棒を助けに駆け付けることを許されている。メサイアは戸籍もなく、法律上はこの世に存在しないサクラの唯一の絆だった。
圧倒的世界観で描き出す長編スパイ小説。(講談社 760円+税)