「カテリーナの旅支度」内田洋子著
長年イタリアで暮らす著者が、出会った人々の生きざまを描くエッセー集。
友人のミケーレに誘われ出かけたジェノバの船舶フェアの広大な会場でひときわ大きな声で目立っていた男は、ミケーレの友人でサルデーニャ島出身のマルコだった。昼食を共にしながら聞いた、ミケーレとマルコが出会った経緯や、マルコに誘われミケーレが島を訪ねた折のエピソードがつづられる。
他にも、友人の紹介で知り合い、ワインを分けてもらっていたパルマ郊外のワイン農家に起きた悲劇と再生の物語や、大手銀行の支店長として輝かしいキャリアと財産を手にする一方で、家族を失った友人のカテリーナの人生など。滋味あふれる文章でイタリアの暮らしと日常をつづる。(集英社 660円+税)