「世界地図の下書き」朝井リョウ著
雨の夜、両親が乗った車にスリップしたトラックが衝突。孤児となった小3の太輔は、伯母夫婦の家を経て、児童養護施設「青葉おひさまの家」で暮らし始める。
太輔の加わった1班は、中3の佐緒里がまとめ役で、太輔と同じ学年の淳也とその妹・麻利、そして2年生の美保子が同室だった。施設になじめない太輔を佐緒里はやさしく見守り、必要なときに手を差し伸べてくれる。それから3年。すっかり皆に溶け込んだ太輔は、ある日、美保子から佐緒里に恋人がいるようだと聞き、落ち着かない。そんな中、太輔は職員のみこちゃんから、伯母が太輔と再び暮らすことを希望していると聞き、胸がざわめく。
第29回坪田譲治文学賞受賞作。(集英社 600円+税)