「『長生き』に負けない生き方」外山滋比古著
「かつては無条件、手放しで歓迎された長寿」が喜ばれなくなったのは、寝たきりや介護してくれる家族への気兼ねなど、面白くない長生きが増えたから。そんな「悪玉」長生きに負けず、人生の後半生を生きるための心構えを説いたエッセー。
「子孫のために美田を買わず」というが、人間は美田はおろか、荒地さえないのに、ない知恵を絞って、わが子のためによかれと考える情けない生き物だと定義。相続させるものはない、つくろうとしない、と決心すれば人生がすがすがしくなると語る。その他、無理な禁煙・禁酒をするより、「微毒はクスリ、小悪は活力」と説く一文など。
92歳で現役の著者による知的生活習慣のススメ。(講談社 540円+税)