「稀代の本屋蔦屋重三郎」増田晶文著

公開日: 更新日:

 吉原で貸本屋を営む蔦屋重三郎は、いずれは自分で本を出す版元になりたいと考えていた。

 吉原の遊女を紹介する「吉原細見」の版権を持っていた鱗形屋に取り入って、改版の仕事を任されたのをきっかけに、念願の版元になる。才能のある戯作者、絵師を発掘して次々に江戸っ子のニーズに合った本を出版するが、やがて危機に見舞われる。風刺の効いた恋川春町の黄表紙が松平定信に睨まれ、召喚されたが、それを拒んで春町は自害した。

 追及の手は蔦屋にも及び、重三郎は拷問を受けた上に家を半分取り壊されるという処罰を受ける。

 山東京伝、歌麿、写楽などを世に出した反骨の出版人の野望を描く時代小説。(草思社 1800円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    フジテレビ30代アナ永島優美、椿原慶子が辞めて佐々木恭子、西山喜久恵50代アナが居座る深刻

  2. 2

    志村けんさん急逝から4年で死後トラブルなし…松本人志と比較される女性関係とカネ払い

  3. 3

    ダウンタウン浜田雅功の休養でよぎる2023年の「意識障害」報道…「前日のことを全く記憶していない」

  4. 4

    男性キャディーが人気女子プロ3人と壮絶不倫!文春砲炸裂で関係者は「さらなる写真流出」に戦々恐々

  5. 5

    悠仁さんの成人会見は秋篠宮家の数々の危機をいっぺんに救った

  1. 6

    志村けんさん急逝から5年で豪邸やロールス・ロイスを次々処分も…フジテレビ問題でも際立つ偉大さ

  2. 7

    志村けんさん急死から4年で関係者が激白…結婚を考えた40歳以上年下“最後の女性”の存在

  3. 8

    備蓄米放出でもコメ価格は高止まり…怪しくなってきた農水省の「実態把握」

  4. 9

    日テレ「さよなら帝国劇場」でわかったテレビ軽視…劇場の階段から放送、伴奏は電子ピアノのみ

  5. 10

    フジテレビ「Live News イット!」が大苦戦中…上垣皓太朗アナが切り札となるか