東京駅舎のキーストーン なんと“秀吉の兜”がモチーフ
「ニッポンを解剖する!東京図鑑」JTBパブリッシング編
各地の名所や文化を図解でひもとくニュータイプガイドブックシリーズ。
その東京版である本書の冒頭で紹介されるのは、表玄関「東京駅」。多くの人にとっては、日常的に利用する場所で珍しさもなく、2012年に創建当時の姿に復元された際に話題となり、今更ではある。
しかし、復元で駅舎最大の見どころとなったドームの装飾も、本書の解説を読むと、知らないことばかり。アーチの中央に取り付けられたキーストーンは、秀吉の兜をモチーフにしていることや、天井部分の車輪状の装飾を囲むように取り付けられた漆喰彫刻のクレマチスの花言葉は「旅人の喜び」など。さすが東京駅、隅々まで凝っていると、感心させられる。
その他、自立式電波塔として世界一の高さを誇りながら、足元の幅が狭い東京スカイツリーの基礎はどうなっているのか、かつては40系統もあった都電が荒川線だけになった理由、「永遠の杜」目指して、もともとは農地や草地だった場所を造営し、100年以上をかけて現在の姿になったという明治神宮、そして国会議事堂のピラミッド屋根の秘密など、図鑑の名にふさわしく、イラストや写真を多用して、そうした名所の見どころを分かりやすく解説。
都民や東京に通勤している人でも、各スポットのウンチクに目からうろこの思いをするはず。日常に溶け込みすぎて興味をそそられなかった場所も、まったく違う魅力的なスポットに見えてくる。
名所の他、お座敷をコンセプトにつくられているため舞台上に床の間や板ぶすまなど、他の寄席には見られない設備がある新宿末廣亭や、歌舞伎座などの日本文化を体感できるスポットや、個性的なミュージアムや水族館、伝統的な祭りまで網羅。「京都」や「沖縄」などラインアップも増殖中。(JTBパブリッシング 1600円+税)