「幻屍症 インビジブル」周木律著
ユタカは、海に囲まれた孤島の孤児院「四水園」で外の世界を知らずに育った。園には6歳から15歳までの男子数百人が暮らしている。園生のいじめに耐えるユタカには、誰にも打ち明けていない秘密があった。人物やモノの卓越した部分が歪んで見えるのだ。絵が上手な友人は指先が、走るのが速い友人は足が、というように。ユタカはこの病気を自ら「幻視症」と名付けていた。
ある日、ミツルという園生が話しかけてきた。ミツルは自らの存在感をひたすら消して島での生活を送ってきたという。ユタカの能力に気づいていたミツルは、2人で園に伝わる4つの謎「四忌」を解き明かそうと持ちかけてくる。世の中から隔離された孤島の孤児院を舞台にした長編ホラー。(実業之日本社 648円+税)