健康長寿の秘訣は粗食ではなく「多様食」
「死ぬまで介護いらずで人生を楽しむ食べ方」新開省二著
飽食が健康を害するという意識から、粗食を心がけているという人はいないだろうか。確かに食べ過ぎは良くないが、粗食に対する評価が過ぎるのは大問題。近年では、粗食は健康にいいどころか、老化を促進して寿命を短くするというデータが明らかになっているためだ。
昔の人は粗食だったから健康なのでは? と思うかもしれない。しかし、昔の日本人はおかずが少ない代わりに、ご飯でカロリーを取るため1日に茶わんで6杯以上は食べていた。不足しがちなミネラルやビタミンも、味噌汁を1日に4、5杯飲むことで補っていたのだ。このような食生活の実態を知らず、ただ粗食だけを信仰していると、低栄養から老化が進み、血管や臓器を衰弱させてしまうのだ。
東京都健康長寿医療センター研究所で副所長を務める著者は、「多様食」を推奨している。肉、魚介類、卵、大豆、そして油を使った料理などの10種類の食品群を対象に、1日1回食べれば1点として、10点満点を目指す食べ方だ。
本書では、老いない骨と筋肉をつくる運動や、運動効果が高まる食事なども紹介している。食事を改善すれば、70歳からでも効果は期待できる。誤った粗食を続けている人は、今日からでも食事を見直してみよう。
(草思社 1300円+税)