「タフガイ」藤田宜永著
1974年夏、探偵の浜崎順一郎は男にからまれていた少年、大悟を助けて葉山の別荘まで送った。大悟の父親は、なんと浜崎の少年院時代の悪友、安藤石雄だった。安藤は資産家の父、庄三郎の跡継ぎとして裕福な暮らしをしていた。
翌日、浜崎の事務所を庄三郎が訪れ、石雄の腹違いの妹、智亜紀の素行調査を依頼するが、彼女が付き合っていた男のアパートを探りだした時、智亜紀はすでに殺されていた。彼女は「風鶏」という雅号の画家を捜していたらしい。その画家は大悟の友人の岩井淳子の実父ではないかと浜崎は推測するが、なぜ智亜紀は彼を捜していたのか。
封印したはずの男と女の過去を暴くハードボイルド長編。
(早川書房 2200円+税)