「最強最高のがん知識」中川恵一著
がんで命を失わないための秘訣は何か。それは、「がんになる前に、がんを知ること」だと、東大付属病院放射線科准教授の著者は断言する。いざ、がんと告知されたとき、平常心でいられる人は少ない。だからこそ、そのときに正しい選択をするためには、事前の情報収集が不可欠なのだ。
たとえば、治療法を決めるにあたってセカンドオピニオンを求める場合、何科に行けばよいのか。答えは、放射線科であるという。通常、肺がんなら呼吸器外科、胃がんなら消化器外科など、いま受診している科と同じ科を別の病院で探す人がほとんどだ。しかし、医師や病院がかわっても、外科を訪ねてしまうと手術以外の治療法を提示される可能性は低い。さらに、多くの外科医は別の診療科や別の臓器のがんについては門外漢だ。一方、放射線科はすべてのがんの治療に携わるため、有意義なセカンドオピニオンが得やすいと本書。
生活習慣ががんの発症に影響するという事実も再認識しておきたい。飲酒して顔が赤くなる人が毎日3合以上飲むと食道がんのリスクが10倍に、また緑茶を1日5杯以上飲む人は胃がんのリスクが3割低いなどのデータを知っておくことで、がんを回避できる確率も高まる。
がんに対抗する武器は、事前の情報であると心得たい。
(海竜社 1000円+税)