「荒野に立てば」北方謙三著

公開日: 更新日:

 著者は16年かけた長編を、一度も締め切りに遅れることなく書き終えた。脱稿したら放浪のための放浪をしてみたいと思っていた。はっきりした目的があれば放浪ではなくなるからだが、あてもなく出かける気力はない。以前は世界地図にダーツの矢を投げて、矢が立った所に行くという旅もしたが、今やったら、気に入る所に矢が立つまでやり続ける気がする。そういうバカげたことを面白いと感じることがなくなり、億劫さに襲われることがある。その〈億劫さ〉を著者は心に生えるカビのように感じ、それをどこかではねのけるべきだと思う。(「知らない土地に迷いこむまで歩こう」)

 読者の心を奮い立たせてくれる、熱いエッセー集。

(新潮社 1300円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    三浦大知に続き「いきものがかり」もチケット売れないと"告白"…有名アーティストでも厳しい現状

  2. 2

    「とんねるず」石橋貴明に“セクハラ”発覚の裏で…相方の木梨憲武からの壮絶“パワハラ”を後輩芸人が暴露

  3. 3

    サザン桑田佳祐の食道がん闘病秘話と今も語り継がれる「いとしのユウコ」伝説

  4. 4

    松嶋菜々子の“黒歴史”が石橋貴明セクハラ発覚で発掘される不憫…「完全にもらい事故」の二次被害

  5. 5

    NiziU再始動の最大戦略は「ビジュ変」…大幅バージョンアップの“逆輸入”和製K-POPで韓国ブレークなるか?

  1. 6

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  2. 7

    下半身醜聞の川﨑春花に新展開! 突然の復帰発表に《メジャー予選会出場への打算》と痛烈パンチ

  3. 8

    モー娘。「裏アカ」内紛劇でアイドルビジネスの限界露呈か…デジタルネイティブ世代を管理する難しさ

  4. 9

    伸び悩む巨人若手の尻に火をつける“劇薬”の効能…秋広優人は「停滞」、浅野翔吾は「元気なし」

  5. 10

    小松菜奈&見上愛「区別がつかない説」についに終止符!2人の違いは鼻ピアスだった