「少女ミステリー倶楽部」ミステリー文学資料館編
テレビで3日前に近所の郵便局に強盗が入ったニュースを見ていた「彼」を刑事が訪ねてくる。前日、彼が家賃として払った1万円札の番号が、強盗された紙幣のものと一致したというのだ。身に覚えはないが、彼はその金の出所を明かすことができない。実はその金はある少女から盗んだものだった。2日前、喫茶店で少女から声をかけられた彼は、1万円で商談が成立してホテルへ。借金に追われ支払う金がない彼は、事後、彼女がシャワーを浴びている間に、ポシェットの金を盗み出し、その場から逃げ帰ったのだった。(連城三紀彦著「少女」)
その他、妊娠した少女との結婚に反対された青年が彼女の母親を殺した事件の謎を追う検事を主人公にした笹沢佐保の「六本木心中」など、危うさと妖しさを兼ね備える少女たちが登場するミステリー13作を収録。
(光文社 880円+税)