「健康長寿は靴で決まる」かじやますみこ著
真のオシャレは足元からといわれるが、人生100年時代を迎えた日本では、“足に合った靴”を選ぶことが何よりも重要だ。足に合わない靴を履き続けていると、外反母趾などの足のトラブルはもちろん、腰痛や肩こりなど足から遠い体の部位にも悪影響が及び、股関節に負担をかけ、筋力の低下を招き、最悪の場合は寝たきりになってしまう恐れもあるのだ。
足に合わない靴など選ぶわけはないと思うかもしれないが、足の指の付け根をメジャーでぐるりと一周させて測る「足囲」や、親指と小指の付け根の直線距離である「足幅」まで答えられる人は少ないだろう。
私たちが一般的に“靴のサイズ”と呼ぶのは、かかとからつま先までの「足長」を表したもので、その他の長さも考慮した靴でなければ、足に合った靴とは言えない。
足に合わない靴を履き続けていると、骨が弓状に並んで形作られている足のアーチが崩れてくる。人間の足には、土踏まずを形成する「内側アーチ」と、小指の付け根とかかとを結ぶ「外側アーチ」、そして親指と小指の付け根を結ぶ「横アーチ」の3つがあり、3点で体を支えることで抜群の安定性を保っている。しかし、いずれかのアーチ構造に歪みが生じれば、アーチ構造全体の強度が下がり、全身のバランスの崩れを招いてしまう。
本書では、ためし履きをしたときにつま先立ちをしてみて、かかとがスポッと抜ける場合はNG、足指の付け根でソールが曲がるかチェックするなど、自分の足に合った良い靴の選び方も伝授。脱ぎ履きしやすい靴や健康サンダルは、実は足にとって大きな負担になることなども解説している。
健康長寿は正しい靴選びからと心得よう。
(文藝春秋 850円+税)