「脳が老いない 世界一シンプルな方法」久賀谷亮著
脳の若さを保つ効果的な方法として欧米で流行し、グーグルでも社員に推奨しているのが、食事でも運動でもなく、マインドフルネスという瞑想法。これを習慣づけると、脳がスッキリと冴え渡るばかりか、脳の老化を食い止め、アルツハイマー病のリスクを軽減させる可能性もあるという。
ただ瞑想するだけで脳が老いないなど、うさんくさいと感じるかもしれないが、エール大学で先端脳科学を学び臨床経験を積んだ著者によると、アメリカでは脳のエイジング研究が進み、さまざまな科学的データが示されているのだという。脳にはデフォルト・モード・ネットワーク(DMN)という“雑念”をつかさどる回路があり、脳の全消費エネルギーの60~80%も費やしている。そしてDMNを酷使し続けると脳疲労が回復しにくくなり、老化が進んだり、アルツハイマー病に関わるアミロイドβという老廃物もたまりやすくなるという。
そこで効果を発揮するのが、マインドフルネス。過活動になったDMN回路を鎮めて、「テロメア」と呼ばれる長寿遺伝子を活性化させるという研究データもあるそうだ。本書では、そのメソッドも分かりやすく解説。例えば、椅子に座って足の裏と床、お尻と椅子など接触面の感覚に意識を向けながら行う呼吸法や、ランニングなど中等度の運動を行いつつ、そのつらさを“鳥の目”で外から眺めるよう意識するのもDMN回路を鎮めるのに役立つ。脳の老いを乗り越えたいなら、今日からでも始めてみては。
(ダイヤモンド社 1600円+税)