脳の温度変化を知れば狙った時間に入眠できる
睡眠の質が高まるメカニズムを知り、覚醒レベルを上げるスキルを身に付ければ、常にベストコンディションで仕事に向き合うことが可能になる。その方法を解説するのが、三島和夫著「睡眠と覚醒 最強の習慣」(青春出版社 1500円+税)である。
質の良い睡眠に大切なのは、眠りの深さだ。そのポイントは、脳の温度を下げる「クールダウン」。脳の温度は早朝にもっとも低く、起床すると上がり続け、昼すぎにいったん下がるものの夕方すぎから、眠る約5~2時間前にもっとも高くなる。そして、眠るまでの2時間ほどで一気に下がり、その勾配が大きいほど深い睡眠が得られることが分かっている。
そこで、脳の温度変化を計算に入れて入浴し、意識的に高めてやれば、温度が下がる勾配が大きくなり、狙った時間に入眠しやすくなる。夜12時に寝たいなら、10時までに入浴して脳の温度を高めておくのだ。
目覚めたのちに活動的な一日を過ごすには、覚醒スキルも必要。早朝ではなく光の効力が強い午前10~11時の日光を浴びること、昼食の前か後に、カフェインを取ってから20分程度の短い昼寝をすることなどがお勧めだ。
さらに、覚醒レベルは脳の温度の高さと比例するため、人間は夕方から夜にかけてがもっとも覚醒している状態といえる。ただし、仕事のパフォーマンスは疲労にも左右される。朝型の人は夕方には疲労がたまるため、午前中から昼にかけての方が能力を発揮しやすい。一方、夜型の人は午前中にはエンジンがかからないが、夕方ごろから能力を発揮しやすくなる。
仕事のパフォーマンスを上げたいなら、睡眠と覚醒を味方につけ、上手に操ることだ。