「わるい食べもの」千早茜著
著者は30年ほど前、ザンビアに住んでいた。生食は厳禁で水も煮沸して飲む生活。あるとき、ケニアのモンバサに行って、海に入った。素潜りをしていた父は「ウニがいるぞ!」と歓声を上げた。両親は「これは食べられるやつだ」「ウニ食べたかったのよ!」と、石で殻をがつんがつん砕き、中腰のまま、じゅるじゅると割っては食べを繰り返した。生ものは危険って言ってたくせに……。
著者は、日本に帰ってから、美術の本であのときの光景にそっくりな絵を発見する。ゴヤ作「我が子を食らうサトゥルヌス」だ。(「モンバサのウニ」)
他に、学校給食で、主食がパンであろうがご飯であろうが必ずついてる「白い悪魔」など、独特の視点でつづる食べものエッセー。
(集英社 1400円+税)