「大根の底ぢから!」林望著

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 四六時中「食べること」を思い、どこに行っても何を食べるか考え、食への好奇心を欠かさないという著者。

 本書は、そんな著者が、食べ物に関して発揮される驚異的な記憶力と探求心をフルに生かし、飽くなき美味への追求をつづった、おいしいもの尽くしのエッセー集だ。

 登場するメニューは、花びら餅、信州そば、旬のたけのこ、背比べの歌に出てくる「ちまき」、30年物のぬか味噌、白ご飯、梨のピザ、スッポン、キャラメル、アヒルの手のひらなど、よく知られた定番から珍味までびっくりするほど幅広い。表題作「大根の底ぢから」では、雪深い信州で作られる干し大根を取り上げて、その種類の豊富さを解説。

 さらに、その干し大根を水で戻して、ソース焼きそば風にするという自慢の創作料理を紹介している。食べることに本気な著者の筆で描かれる食べ物の数々は、食感から舌に広がる味わいまでが手に取るように伝わってきて、実にうまそう。読んでいるうちに、思わずよだれが垂れそうだ。

(フィルムアート社 1800円+税)

【連載】週末に読みたいこの1冊

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